相談者:一般社団法人コミュニティスペースうみねこ
主な支援内容:ブランディング、加工方法、衛生管理指導、販路開拓
もともとは石巻市内で、
保育士をしていた八木純子さん。
自身も被災者ながら、
震災1カ月後には
目の前の困っているお母さんたちを助けたいと、
子守り支援をスタート。
その後も、
お年寄りのデイサービスや
全国から集めたTシャツで作る布草履販売などで
仮設住宅に暮らす女性たちに手仕事を供給するなど、
精力的な活動が注目を集めてきた。
そして2013年には、
男性たちの仕事も作ろうと、
女川にある実家の敷地を整備して
唐辛子やいちじくの畑づくりを
スタート。
「唐辛子は軽いから、
お年寄りでも扱いやすいという理由。
いちじくの木は震災前から2本あり、
津波をかぶって1年目は枯れかけたのですが、
2年目に花を咲かせたのを見て、
強いんだな、と。
それで増やすことにしました」と八木さん。
農家がない海の街・女川には、
畑づくりの素人ばかり。
それでも地域の人々と力を合わせ、
試行錯誤で始めたという。
▲被災して、居場所や仕事を失った主に高齢者の生きがいづくりが目的の活動
その後まもなく、
被災した実家の建物を改修し、
人々が集えるカフェ「ゆめハウス」をオープン。
畑でできたいちじくをもぎ、
地域の女性たちが甘露煮にして提供したところ、
県外から来たボランティアの人々に大好評だった。
「昔は各家庭の味がありましたが、
最近はあまり作れなくなってしまった
いちじくの甘露煮。
地元の人には懐かしく、
外の人には珍しい
貴重なふるさとの食文化なのだと気づきました」
そこでヒントを得て、
乾物として販売しやすい、
いちじくの甘露煮のセミドライと
葉を粉末にした「いちじく茶」を開発。
乾燥させた唐辛子と共に、
イベントに出店、
お客さんの反応を見ながら、
自分たちなりの商品化を模索していた。
▲女川にある果樹園カフェ「ゆめハウス」。いちじくと唐辛子の畑、加工場も備える
▲カフェメニュー。いちじくの甘露煮(左)とセミドライ(中)。右はドライフルーツのケーキ
そこで出会ったのが、
宮城県6次産業化サポートセンターのプランナーだった。
八木さんたちの商品を見るなり、
これはプロの手を借りて、
本格的にブラッシュアップすべき!と提案。
2015年から
ブランディングや加工方法、
販路開拓、衛生管理など、
さまざまな面での支援を始めることになった。
中でも大きかったのは、
「ロゴマークを作ってもらったこと」
と八木さん。
プランナーがコンセプトとターゲットを明確にした上で、
そのイメージを形にできるデザイナーを紹介。
八木さんの団体が継続的に受け取ってきた
補助金を利用して、
商品リーフレットやパッケージ、
テーブルクロスなどの
展示会用ツールも整備することができた。
▲海の街、女川に作った畑という意味を込め、うみねこと作物の芽にも見えるデザインにこだわったロゴマーク
▲オリジナルトレイに入った詰め合わせのギフトセット。トレイも長く使えるようになっている
▲展示会やイベント時に活躍するロゴ入りのテーブルクロス
2017年2月には千葉県の幕張メッセで行われた
「スーパーマーケットトレードショー」へ出展。
現在は、大手通販サイトや小売店とも商談中という。
復興支援から始まった活動は今、
地域に産業と雇用を生み出す
本格的なソーシャルビジネスとして
発展しようとしている。
▲一般社団法人コミュニティスペースうみねこの活動に関わる地域の人々やボランティアの皆さん
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